≪接着・原賀塾≫
講師:(株)原賀接着技術コンサルタント
首席コンサルタント、工学博士
原賀康介
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pdfファイル版(第1回~第56回)販売のお知らせ
・<接着・原賀塾>の 第1回から第56回(第1章~第14章) を読みやすくまとめた「pdfファイル版」(A4カラー版 全304ページ、図表322点)です。
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ウレタン系接着剤には、一液湿気硬化型、二液型、ホットメルト型などがありますが、構造強度が求められる場合には二液型が使われます。二液型は、主剤に相当するポリオールと硬化剤に相当するイソシアネートとの<付加重合反応(共重合)>によって硬化します。
ここでは二液型について述べます。
二液型ウレタン系接着剤は、日本ではあまり多く使われていませんでしたが、2013年にBMW社がi3という電気自動車で、車体軽量化のためにCFRPボディーとアルミシャーシーを二液型ウレタン系接着剤(ボルト併用)で接合したことから、日本でも二液型ウレタン系接着剤が脚光を浴びるようになりました。しかし、欧州と日本の気候(温度・湿度)の違いから、日本で用いるにはかなりの苦労を強いられることとなりました。これは、二液型ウレタン系接着剤の主剤に相当するポリオールも硬化剤に相当するイソシアネートも空気中の水分の影響を非常に受けやすい材料であるからです。即ち、主剤のポリオールは水と非常になじみやすいため、空気中の水分を吸収します。硬化剤に相当するイソシアネートは、水と非常に反応しやしく、反応して二酸化炭素を発生させます。このため、二液を混合すると発泡が生じることとなります。二液型エポキシ系接着剤のように、二液型ウレタン系接着剤の容器を開けて手作業で計量・混合などの操作を通常の作業雰囲気で行っていると、接着剤が発泡して使えなくなってしまいます。塗布から貼り合わせまでの放置時間が長くなっても空気中の水分との反応によって発泡が生じます。このように、二液型ウレタン系接着剤を用いる際には、極力水分との接触を避けることが必要なため、湿度の高い日本での作業では苦労させられるということです。
・一般に、樹脂への接着性に優れている。
・硬化物はエポキシに比べて柔軟なものが多く、はく離強度、衝撃強度に優れている。
・空気中の水分で発泡をおこす。
図15-29は、二液室温硬化型ウレタン系接着剤の主剤と硬化剤を混合して塗布した後、5分間放置後貼り合わせて硬化させた場合の、作業場の温度と湿度による発泡の程度を示したものです。この接着剤では、オープンタイム5分で発泡させないためには、水蒸気圧が10mmHg以下の作業環境が必要で、15mmHg以上では必ず発泡するという結果になっています。水蒸気圧10mmHgは、温度が20℃の場合は相対湿度55%RH、25℃の場合は40%RH、30℃の場合は30%RHなので、作業場はかなりの除湿が必要です。
図15-29 二液室温硬化型ウレタン系接着剤の発泡状態に及ぼす
接着時の温度・湿度の影響の一例(オープンタイム5分)
図15-30は、図15-29に示した種々の発泡状態のものの接着強度を測定して、発泡の程度(横軸)と接着強度(縦軸)の関係を示したものです。この結果から、発泡が多くなるほど接着強度が低下することがわかります。
図15-30 二液室温硬化型ウレタン系接着剤の発泡の程度とせん断接着強度の関係の一例
発泡をなくすためには、次のような点に注意が必要です。
容器を開けての手作業による計量・混合は行わないこと。
空気に触れずに計量・混合ができる二連カートリッジ入りを用いたり、専用の計量・混合・塗布装置を用いること。
混合した接着剤の塗布から貼り合わせまでのオープンタイム(空気との接触時間)は極力短くすること。
作業環境の温度・湿度をできるだけ低くすること。
接着剤は、空気や水分に触れない密閉状態で保管すること。
・金属の接着では、プライマーが必要な場合が多い。
・基本的に油面接着性はありません。(接着面の十分な脱脂・清浄化が必要です)
・正確な計量と十分な混合が必要です。
・混合量が多く、作業雰囲気温度が高いと、反応熱によってポットライフが短くなります。
・主剤のポリオールには、ポリエーテルタイプとポリエステルタイプが有り、ポリエステルタイプは加水分解性があるので、接着したものの高温高湿度中での使用には注意が必要です。ポリエーテルタイプは加水分解性はありません。
・イソシアネートにはTDI(トルエンジイソシアネート)とMDI(ジフェニルメタン)があり、TDIは有害性(呼吸器障害など)があるので使用しないで下さい。MDIは有害性は少ないです。
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(1-4) 構造用・準構造用のエポキシ系、アクリル系、ウレタン系接着剤の比較
表15-1に、構造用・準構造用に使用されるエポキシ系(二液、一液)、二液変性アクリル系、二液ウレタン系接着剤の諸特性の比較を示しました。それぞれの接着剤には多くの品種があるので、この表は概略的な比較と考えてください。
表15-1 構造用・準構造用のエポキシ系(二液型、一液型)、二液型アクリル系、二液型ウレタン系接着剤の諸特性の比較
次回は、エンジニアリング接着剤について述べます。
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<前回第62回分>はこちら <次回第64回分>は未掲載 <目次>はこちら
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